和装衣裳あれやこれや~綿帽子と角隠し編~
奈良和婚ブログをご覧いただきまして有難うございます。
ヘアメイク・着付けを担当しております婚礼美容師:宇都早苗です。
本日は7月7日七夕の日🎋 街のあちらこちらには願いを書いた短冊がかけられた竹を見かけますね。古くから人は神仏などに願い事を行ってきました。花嫁衣裳もまた、花嫁の幸福を願って色々な小物に願いを込めて用いられています。
そのような小物の中から今回は和装花嫁の衣裳小物の中でももっともお顔映りを左右する綿帽子と角隠しについてお話したいと思います。
綿帽子(わたぼうし)
袋状になった帽子のようなもの。白無垢のみに合わせる事ができる帽子です。また、挙式でしか着用できないとされています。
起源は平安時代に遡り、高貴な女性は外出時に顔を見せないように、「袿(うちぎ)」や「衣(ころも)」を頭に被って外出する習慣がありました。そのようなものを「被衣(かつぎ)」と呼んでいましたが、時代を経て綿帽子の形へと変わっていった・・・、という説があるそうです。当時は整髪に油を使用していましたのでその埃除けや防寒の為もあったようです。
「挙式を終えるまでは花婿以外にはお顔を見せない」という意味があるといわれていますが、ウェディングドレスのベールも同じような役割がありますね。お顔を見えないようにお隠してされている花嫁様はとても奥ゆかしくはにかんだようにみえます。そのような様子から花嫁様の「恥じらい」を表しているともいわれています。また、お顔を隠す事で魔除けの意味もあるとされていて、花嫁様を防寒や埃からだけでなく、邪悪なものから守るという意味もあるのです。
角隠し(つのかくし)
白い帯状の布をお顔映りに合わせて調整しながら形つくります。白い角隠しのラインは日本髪のフォルムや簪などの飾りの華やかさが活かされ、凛とした表情をつくります。
また、角隠しを「揚帽子(あげぼうし)」とも呼びます。江戸時代の武家・庶民の富裕層の女性が用いた塵除けのかぶり物で、蝶に似ている形から「揚羽帽子(あげはぼうし)」といわれ、「揚羽帽子」→「揚帽子」と変化したようです。時代劇や北斎の絵などでもたまに目にする事がある「揚帽子」ですが、現在の「角隠し」として婚礼で用いられるようになったのは明治以降だそうです。
「角を隠して、おしとやかな妻になる」という意味が込められているそうです。紫式部の『源氏物語』などでも描かれているように昔は、女性は嫉妬に狂うと鬼や物の怪になるとされていたようで、そのような事を防ぐおまじないのような意味も込められているようです。
綿帽子も角隠しも、お被せするバランスはとても大切です。ちょっとしたバランスの違いでお顔映りが左右されます。どちらのお帽子になさるかが決まりましたら、そのようなバランスについても美容担当者とご相談されるとよいかと思います。
一通りお話させていただきましたところで、以前のブログ『和装衣裳あれやこれや~種類編』でも少しだけ触れました組み合わせについて、内容をもう一度おさらいしておきましょう。
衣裳との組み合わせ
白無垢 × 角隠し または 綿帽子
色打掛 × 角隠し
引き振袖 × 角隠し
ヘアスタイルとの組み合わせ
かつら または 地毛結日本髪 × 角隠し または 綿帽子
洋髪 × 綿帽子
イメージからみる違い
上のお写真の花嫁様、実は同じ方です。地毛結日本髪で、挙式で白無垢×綿帽子、挙式後に角隠しにチェンジ、色打掛×角隠しでご披露宴をさせていただきました。ヘアメイクは変えていませんが、お被りになるものでイメージが変わりますね。
それぞれのお帽子がもつイメージを下にあげてみました。
綿帽子
全体的に曲線を描くまぁるい形から、「柔らか」「可愛らしい」、お顔が少ししか見えず、「奥ゆかしい」「神秘的」といった印象
角隠し(揚げ帽子)
日本髪に合わすことから、「クラシカル」でありつつ、お顔の輪郭がしっかり見える為、「凜とした」「きれいめ」といった印象
以上のように、それぞれがもつイメージや自由度、暗黙のルールのようなものもございますが、枠にとらわれず、してみたい事を集めてみるのもよいかもしれません。そのような時こそ、私達にご相談いただけましたら幸いにぞんじます。
思いは人それぞれ、その思いをどれだけ形に出来るか・・・沢山ヒアリングをさせていただいて、一緒にご相談させていただきます。
花嫁様の『なりたい』を叶えたい・・・、そんな気持ちで、
ある時はアイテムをつかってみたり、色々な作戦を練ってみたりしながら、ヘアメイク・着付けを担当させていただきます。
今夜は天の川が見られるかもしれませんね。どうぞ素敵な七夕の日をお過ごし下さいませ🌌☆彡